kintoneで受注管理をしている卸売業向け — FAX注文書をCSVインポートするときに整えておきたいこと
公開:
基幹システムのパッケージソフトを入れるほどの規模ではないけれど、Excelの受注管理表もそろそろ限界——という卸売業の受注担当者の中には、kintoneで受注管理の仕組みを自前で組んでいる方が少なくありません。FAX注文書をAI-OCRや手入力で読み取ったデータを、そのkintoneアプリにCSVでまとめて取り込もうとして、思わぬところでつまずくことがあります。
この記事では、kintoneへのCSV取込でつまずきやすいポイントを、更新キー・文字コード・先頭0落ち・エラー時の挙動の4つに分けて整理します。なお、製品の仕様として書いているのはkintone公式ヘルプで確認できる範囲に限っています。実際の画面や挙動はプラン・バージョンによって変わることがあるため、必ずお使いの環境のヘルプで確認してください。
つまずき1: 更新キーに「重複しないフィールド」を用意できているか
kintoneへのCSV取込には、新しいレコードを追加するだけでなく、既存レコードを取込データで上書きする「レコードの更新」という反映方法があります。ここで必ず必要になるのが更新キーです。
公式ヘルプによると、更新キーは「アプリのレコードと読み込むファイルの行をひも付けるためのフィールド」で、同じアプリ内で他のレコードと値が重複しないフィールドを指定する必要があります。kintoneが自動で採番する「レコード番号」を使うか、受注番号のように重複禁止の設定をしたフィールドを自分で用意しておく必要があります。
ここでFAX注文書のCSV取込特有の壁が出てきます。FAXで届く注文書には、取引先側の注文番号はあっても、自社側で管理する一意な受注番号は書かれていません。取込のたびに「どのフィールドを更新キーにするか」で悩む前に、受注データを起こす段階で一意な受注番号(または伝票番号)を採番し、その列を必ずCSVに含めておく設計にしておくと、後から更新キーで迷わずに済みます。
つまずき2: 文字コードは「取込先はどれを求めているか」で選ぶ
kintoneのファイル読み込み・書き出しでは、文字コードをUTF-8 / BOM付きUTF-8 / Shift-JISなどから選べます。公式ヘルプによれば、書き出したファイルをExcelなどのアプリケーションで扱う場合はBOM付きUTF-8を、日本語の文字だけを扱うならShift-JISを選ぶ、という案内があります。
ここが、国内の販売管理パッケージから移ってきた方や、パッケージと併用している方が引っかかりやすいところです。「日本語のCSVはShift-JISで出しておけば安全」という感覚は、kintoneでは必ずしも通用しません。異体字(「髙」「﨑」のような外字)や特殊記号、絵文字のような文字を含むデータをShift-JISで扱うと、正しく表示されなくなることがあると公式ヘルプは案内しています。取引先名や商品名に外字が混ざりやすい卸売業では、UTF-8系を基本にしておくほうが無難です。
- 目安: Excelで作ったCSVをkintoneに取り込むならBOM付きUTF-8を試す。文字化けするようなら別の文字コードに切り替えて確認する
- 併用している基幹システム側がShift-JIS前提のこともあるため、「kintone向け」「基幹向け」で文字コードを使い分ける前提で出力設定を持っておくのが安全です
文字コードの基本的な考え方は基幹システムへのCSV取込でよくあるエラーと対処法(文字コード・列順・0落ち)でも整理しています。UTF-8を基本とするクラウドサービスという意味では、キャムマックスへのCSV取込でつまずくポイントでも近い注意点を扱っています。
つまずき3: 商品コードの先頭「0」がいつの間にか消える
FAX注文書のCSV化でよく起きるのが、商品コードや型番の先頭についた「0」が消えてしまう現象です。kintone公式ヘルプでは、これを数値フィールドの仕様として説明しています。数値フィールドに「0」から始まる2桁以上の数値を入力すると、先頭の「0」が削除されるという挙動です。
対処法として公式ヘルプが案内しているのは次の2つです。
- 商品コードや電話番号のように「数字だが計算には使わない」項目は、最初から文字列(1行)フィールド(電話番号は電話番号フィールドでも可)で受け取る設計にしておく
- Excelなどでファイルを編集・保存する際は、該当する列のセルの書式設定を「文字列」に変更してから保存する
商品コードが1桁ずれるだけで、品目マスタと一致しない別コードとして扱われます。FAX注文書から読み取った商品コードをkintoneに渡す前に、この2点を取込設計の時点で決めておくと、あとから「なぜかマスタに無い商品として登録された」という事故を避けられます。
表記ゆれ・0落ちを含む、CSVを作る側の整え方は「表記ゆれ」— 日付(和暦/西暦)・単位(ケース/箱)・全角半角・0落ちの正規化でも扱っています。
つまずき4: エラーが出たとき、どちらの方式で取り込んでいるか
kintoneのファイル読み込みには、エラーが起きたときの処理方法が2種類あります。公式ヘルプによると次のとおりです。
| 方式 | 挙動 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 読み込みを継続(エラー行をスキップ) | エラーになった行だけ飛ばして次の行を読み込み続ける。ファイル内の全エラーが検知される | 大量の行を一度に流し、エラー行だけ後でまとめて直したいとき |
| 読み込みを中止(最初のエラーで停止) | 最初にエラーになった行より後ろは読み込まれない。エラーが検知される前の行までは登録される | 少量ずつ確認しながら進めたいとき、行の順序が意味を持つとき |
どちらの方式でも、読み込まれなかった行とエラーの内容はCSVファイルとしてダウンロードできると案内されています。ここで注意したいのは、「継続」方式を選んでいる場合、エラー行だけが抜けた状態で登録が完了することです。エラーにならなかった分は正常に見えるため、エラーCSVを確認しないまま「今日の分は取り込んだ」と済ませてしまうと、抜けた行に気づかないまま出荷指示が進んでしまう恐れがあります。
- 取込後は必ずエラーCSVの有無を確認する
- 継続方式を使う場合は、取り込んだレコード数と注文書の枚数(行数)を突き合わせる習慣をセットにしておく
件数が合わない・一部だけ入っていないという症状そのものはCSVを取り込んだのに件数が合わない — 原因と検算のしかたでも扱っています。
進め方のまとめ
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 受注データに一意な受注番号(または伝票番号)の列を必ず持たせ、更新キーに使えるようにしておく |
| 2 | 取込先(kintone向け/基幹向け)ごとに文字コードを決め、毎回選び直さずに済むようにしておく |
| 3 | 商品コード・電話番号のような「計算に使わない数字」は文字列(1行)フィールドで受ける設計にし、Excel編集時はセルを文字列にする |
| 4 | エラー時の処理方式(継続/中止)を決めておき、継続方式なら取込後に必ずエラーCSVと件数を確認する |
| 5 | 1件だけ試してから、まとめて取り込む |
基幹パッケージ(販売大臣・商奉行・PCA商魂など)を使っている場合の注意点は販売管理ソフトへのCSV取込でつまずくポイント、業界横断の基本は基幹システムへのCSV取込でよくあるエラーと対処法にまとめています。kintoneでの受注管理アプリそのものの組み方はこの記事の対象外です。CSVインポート時に整えておきたい列・キー・文字コードの観点に絞って書きました。
手前味噌の紹介
この記事を書いているのは、注文書特化サービス注文書係(ちゅうもんしょがかり)の運営者です。FAX・手書きの注文書をアップロードするとAIが下書きを作り、担当者は自信のない項目だけを確認して確定します。転記にかかる時間を1/10程度に圧縮することを狙ったサービスです。
その先のCSV出力では、文字コード(UTF-8 / Shift_JIS)と列順・列名を取込先の形式に合わせて一度登録しておけば、次回から同じ形式で出力されます。この記事のつまずき2で挙げた「kintone向けはUTF-8系、基幹向けはShift-JIS」という使い分けも、出力設定として持っておけば毎回考えずに済みます。品目マスタとの突き合わせにも対応しているため、注文書に書かれた品名から自社の商品コードへの変換もその場で確認できます。
kintoneでの受注管理と手書きFAXの読み取りを両立させたい方は、無料トライアル(30枚または14日間、クレジットカード登録不要)で、実際にお使いの帳票との相性を確かめてみてください。