BtoBプラットフォーム受発注の注文データを自社の基幹システムに取り込む — CSVの項目カスタマイズと、FAX受注が残る場合の二重管理の防ぎ方
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BtoBプラットフォーム受発注から注文データをCSVでダウンロードして、自社の販売管理システムに取り込む。ここまでは仕組みとして用意されています。ところが実際に運用してみると、思っていたほど楽にならないことがあります。理由はたいてい、取引先の全部がプラットフォームに乗ってくれるわけではないからです。
得意先の何社かは今まで通りFAXで注文書を送ってきます。電話で追加をもらうこともあります。結果として、画面からダウンロードした注文データと、紙で届いた注文書の2系統を、同じ受注データとして基幹システムに揃えなければならなくなります。この「揃える」作業に、削減できたはずの時間が吸い込まれていく——これが、受注側で起きがちな二重管理です。
この記事では、プラットフォーム経由の注文を自社の基幹システムに取り込むためのCSVの準備と、FAX受注が残る場合に二重管理を防ぐ考え方を整理します。
なお、BtoBプラットフォーム側の仕様として書いているのは、インフォマートの公式サイト(corp.infomart.co.jp)で確認できる範囲に限っています。契約プラン・オプションによって使える機能は変わることがあるため、実際の設定は必ず自社の契約内容にあわせて確認してください。取り込む側(自社の販売管理システム)の仕様は読者ごとに違うため、この記事では一般化できる準備の話に絞ります。
出力側でできること: 項目と並び順を、取込先に合わせる
まず押さえておきたいのは、ダウンロードするCSVの形が固定ではないことです。
インフォマートの公式サイトによると、取引データは定型フォーマットだけでなく、項目や並び順などをユーザー側でカスタマイズできる機能があり、連携するシステムのインポートファイルにあわせてダウンロードすることが可能と案内されています。CSVダウンロード機能には出力項目を選ぶ、並び順を変更する、字数制限といった機能があるとされています。
ここが効きます。多くの取込エラーは「データの中身」ではなく「渡し方の作法」で起きるためです。取込先が要求する列名・列順に出力側で合わせてしまえば、ダウンロードしたファイルをExcelで開いて列を並べ替える、といった毎回の手作業がまるごと不要になります。
- 取込先の販売管理システムが受け入れる列の仕様(項目名・順番・桁数)を先に確認する
- その形になるようにダウンロード側の出力項目を設定し、一度決めたら触らない
- 出力設定に名前を付けて残し、「どのシステムに、どの列名・列順で渡すか」を1枚の表にしておく
CSVを毎回Excelで加工しているなら、その加工こそが取込エラーの発生源です。加工の手順を人が覚えているうちは、その人が休んだ日に受注が止まります。出力側の設定に寄せられるものは、すべて寄せてください。
なお、会計ソフト連携向けには会計ダウンロード機能があり、項目を統合する、年号を置換する、金額を集計する、消費税を按分するといった機能が使えると案内されています(公式サイトでは「※BtoBプラットフォーム受発注のみ」と注記されています)。会計側に渡すデータで年号や集計単位の調整が必要なら、この機能で吸収できないかを先に確認する価値があります。
ダウンロード作業そのものを減らす
もう一段先の話として、ダウンロードのために毎日画面を開く運用も、締め時間の前に効いてきます。
公式サイトでは、CSVのタスク機能を使えば指定した時間にあらかじめ連携ファイルを用意しておくことができ、カスタマイズしたCSVデータをタスクで定期的に出力して、FTPSやHULFTを使って外部サービスと連携できると案内されています。いちど登録すれば自動的に連携される、という説明です。
自動連携の仕組みを組むには社内(あるいは取込先ベンダー)の協力が要りますが、検討するときの判断材料はシンプルです。
| 段階 | 毎日の作業 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 手動ダウンロード | 画面を開いてCSVを落とし、取り込む | 件数が少ない。まず形を固めたい段階 |
| 出力項目のカスタマイズ | 落としたCSVをそのまま取り込む(加工なし) | Excelでの列並べ替えが毎日発生している |
| タスク+自動取得 | 決まった時刻にファイルが用意され、取込側が拾う | 締め時間が厳しい。担当者が固定できない |
順番としては、まず出力項目を取込先に合わせて固めるところまでを先にやってください。形が定まっていない状態で自動化すると、形を変えるたびに自動連携の設定も直すことになります。
FAX受注が残る前提で、受注データを1本に揃える
ここからが本題です。プラットフォームを導入しても、取引先の全社が移行してくれるとは限りません。長年の付き合いで注文書の様式が決まっている、注文するのが現場の職人さんでパソコンを使わない、発注担当者が高齢である——理由はさまざまですが、取引先がFAXをやめてくれないという状況は珍しくありません。
このとき起きるのが、次のような分断です。
- プラットフォーム経由の注文: CSVでダウンロードして基幹に取込
- FAX・電話の注文: 紙を見ながら基幹に手入力
- 結果: 同じ「今日の受注」なのに、入り口が2つあり、入力の作法も担当者も分かれる
分断そのものは、取引先を変えられない以上なくなりません。問題は、分断を取込の直前まで持ち込んでしまうことです。基幹システムから見て入り口が2つある状態だと、締めの前に「プラットフォーム側は全部入ったか」「FAX分は全部入力したか」を別々に確認することになり、確認の手間が2倍になります。抜けたことに気づくのも遅くなります。
現実的なやり方は、基幹システムに入れる直前の形(CSV)を1つに揃えることです。
- プラットフォームからダウンロードしたCSVを、取込先の列名・列順に合わせて出力する(前述)
- FAX・電話の注文も、同じ列名・列順のCSVにしてから取り込む
- 基幹システムへの入り口を1本にし、取り込んだ件数を1か所で数える
2番目が手入力のままでも構いません。大事なのは、基幹に入る手前で形が同じになっていることです。形が揃っていれば、「今日の受注は全部で何件、うちプラットフォーム経由が何件、FAXが何件」という数え方ができるようになり、締め前の確認が1回で済みます。
揃えるときに決めておく3つのこと
形を揃えると決めたら、先に決めておかないと後で困るものが3つあります。
1. 受注番号の付け方
プラットフォーム経由の注文には注文番号が付いていますが、FAXの注文書には自社が管理できる番号が書かれていないことがよくあります。取引先が独自の発注番号を書いてくることはあっても、それは相手の体系です。
注文書側に番号が無いなら、受注する側で採番します。 規則は重複しなければ何でも構いません(取引先コード+受注日+連番など)。ここで大事なのは、同じ注文書を二度取り込んでも同じ番号になる規則にしておくことです。そうしておけば、二重に取り込んでしまったときに気づけますし、後から問い合わせがあったときに元の注文書へ辿り着けます。
番号の体系が2系統になること自体は問題ありません。「プラットフォーム由来か、自社採番か」が見分けられる形にしておく方が、後の突き合わせは楽になります。
2. 品名から自社の商品コードへの変換
プラットフォーム経由の注文データは商品が特定された状態で届きますが、FAXの注文書はそうではありません。取引先は自分たちの呼び名・自分たちの品番で書いてきます。「注文書に書かれた品名 → 自社の商品コード」への変換は、CSVを作る側で済ませておく必要があります。
この変換を特定の担当者の記憶に頼っていると、その人が休んだ日に受注が止まります。品目マスタ(品番と商品名・別名の対応表)を最新に保つことが、いちばん効く準備です。詳しくは「あの人しか読めないFAX」— 受注業務の属人化を解く順番で扱っています。
伝票を取り込むときの原則は**「マスタ(取引先・品目など)が先、伝票が後」**です。伝票側で指定したコードがマスタ側に無ければ、その行は成立しません。
3. 表記の揃え方と、静かな0落ち
2系統のデータを1つの形に揃えるとき、見落としやすいのが表記の違いです。プラットフォーム側は入力の形式が決まっていますが、FAXの注文書は取引先ごとにバラバラです。
- 日付: 和暦と西暦、「7/3」のような年の無い書き方
- 単位・数量: 「3ケース」「3c/s」「3箱」が同じ意味だったりする
- 全角と半角: 数字・英字・記号の混在
- 取引先名: 「株式会社」と「(株)」、前後のスペース
人が見れば同じでも、1文字違えば別物として扱われます。整え方はFAX注文書をCSVにする前に整えたい「表記ゆれ」にまとめました。
もう1つ、Excelを経由すると起きるのが**先頭ゼロの脱落(0落ち)**です。Excelは数値の先頭にある「0」を自動的に削除する仕様のため、「012345」のようなコードが「12345」になります。得意先コード・商品コードで起きると、コードそのものが別物になり、そのままマスタ不一致に直結します。エラーではなく静かに値が変わるのが厄介な点です。
- 取込用ファイルをExcelで編集するなら、編集する前にシート全体の書式を「文字列」にしておく
- CSVとして保存した後は、確認のためであっても再度Excelで開かない(開いて保存し直すと元に戻ってしまうことがあります)。中身を見たいときはテキストエディタで開く
文字コードや列順など、取込先ごとに共通して引っかかるところは基幹システムへのCSV取込でよくあるエラーと対処法にまとめています。
進め方のまとめ
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 取込先(自社の販売管理システム)が受け入れる列名・列順・桁数を確認する |
| 2 | プラットフォーム側の出力項目をその形に合わせて設定し、以後は触らない |
| 3 | FAX・電話の注文も、同じ列名・列順のCSVにしてから取り込む形に決める |
| 4 | 注文書1件を特定する番号の付け方を決める(番号が無ければ受注側で採番) |
| 5 | 取引先・品目のマスタを先に整え、注文書の品名から自社コードへ変換できる状態にする |
| 6 | まず1件だけのファイルで取り込み、用意した列がすべて値として入っているか画面で確認する |
| 7 | 通ったら同じ形式でまとめて取り込む。件数は1か所で数える |
手順6の「1件だけで通す」は遠回りに見えて、いちばん時間を節約します。数百行をいきなり投入すると、同じ原因のエラーが何十行も並んで根っこが見えにくくなるうえ、列名の不一致のようにエラーにならず静かに落ちる種類の失敗は、件数が多いほど見つけにくくなります。
プラットフォームの導入は、乗ってくれた取引先の分だけ確実に効きます。効果が薄く感じるとしたら、それは導入が失敗しているのではなく、残りのFAX受注が手つかずのままだからです。全社を移行させることは受注側の努力では決められませんが、FAX側の入り口をCSVに揃えることは、取引先に何も頼まずに自社だけで進められます。
手前味噌の紹介
この記事を書いているのは、注文書特化サービス注文書係(ちゅうもんしょがかり)の運営者です。FAX・手書きの注文書をアップロードするとAIが下書きを作り、担当者は自信のない項目だけを確認して確定します。転記にかかる時間を1/10程度に圧縮することを狙ったサービスです。
この記事でいう「FAX側の入り口をCSVに揃える」部分がそのまま守備範囲です。CSV出力では、文字コード(UTF-8 / Shift_JIS)と列名・列順を取込先の形式に合わせて一度登録しておけば、次回から同じ形式で出力されます。プラットフォームからダウンロードしたCSVと同じ列構成に揃えておけば、基幹システムから見た入り口を1本にできます。品目マスタとの突き合わせにも対応しているため、注文書に書かれた品名から自社の商品コードへの変換も、確定する前に画面で確認できます。
料金は9,800円/月(税抜・500枚まで)から、初期費用0円・いつでも解約可能です。プラットフォームに乗らない取引先の分だけが手入力で残っている方は、無料トライアル(30枚または14日間、クレジットカード登録不要)で、実際にお使いの帳票との相性を確かめてみてください。