医薬品卸のFAX受注、似た名称・規格違いの読み違いをどう防ぐか
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医薬品卸では、薬局や医療機関からの発注の多くがEOS(電子的発注)で処理されています。ただし地域によっては発注量の70〜80%程度にとどまり、残りはFAXや電話による発注が今も使われています。専用端末やSDC-VAN(卸と医療機関・薬局の間で使われるオンライン発注網)が整備される一方で、レスポンスの速さからFAXが選ばれ続けている現場もあります。
FAXや電話での発注は、卸側でデータ入力等の人的作業が発生するぶん、EOSに比べて受注コストが大きく膨らむ構造だと業界内でも指摘されています。ここまでは他業種のFAX受注とも共通する話です。
一方で、医薬品卸のFAX受注には、他業種にはない特有の読み違いリスクもあります。この記事では、医薬品の販売名の構成に由来する読み違いパターンを整理したうえで、運用とシステムの両面からできる対策を紹介します。この記事で扱うのは受注入力・発注データの読み違い防止という業務プロセスに限られます。医薬品の安全性や服薬指導、医療行為に関する助言は行いません。
FAX・電話発注がまだ残っている理由
- EOSが主流でも、全量ではない: 地域差はあるものの、発注量の70〜80%程度がEOSで処理されている一方、FAXや電話による発注も一定量残っています
- レスポンスの速さ: 在庫・納期の確認も含め、FAXの方が回答が早いと感じている現場があるためです
- コスト差の裏返し: FAXや電話による発注は卸側でデータ入力等の人的作業が発生するため、受注コストがEOSに比べて大きく膨らむと業界内でも指摘されています。裏を返せば、この人的作業の部分こそが効率化の余地ということでもあります
医薬品特有の読み違いリスク
医薬品の販売名は、先発品であれば「ブランド名+剤型+含量(または濃度)」、後発品であれば「一般的名称+剤型+含量(または濃度)+屋号等」という構成で決められています。つまり、ブランド名や一般名の部分が同じでも、含量(規格)が違うだけの別商品が数多く存在します。
これはFAX注文書の読み取りにおいて特有の難しさを生みます。
- 含量違いの見落とし: 手書きの注文書で、商品名の後ろに小さく書かれた含量(mg数など)を読み落とすと、同じ名前の別規格の商品として処理してしまうリスクがあります
- 剤形違いの見落とし: 錠剤・カプセル・散剤など剤形の記載が省略されている、あるいは略記されていると、同名の別剤形と取り違える可能性があります
- 類似した名称同士の混同: 医薬品業界では販売名が似た商品同士の取り違えが以前から課題として指摘されており、注文書の手書き文字が崩れているとさらに判別しにくくなります
これらはあくまで受注入力段階の「読み違い」の話です。受注事務担当ができるのは、注文書に書かれた内容を正確にデータ化することに尽きます。
運用面でできる対策
- 含量・剤形を必ずセットで確認する: 商品名だけでなく、含量と剤形が注文書に明記されているかを都度確認する習慣をつけます。省略されている場合は取引先へ確認します
- 紛らわしい組み合わせをリスト化する: 自社の取扱品目の中で、名称が似ていて含量違いの商品が多い品目群をあらかじめリストアップし、入力時に見比べます
- 数量・単価とセットで見る: 極端に大きい数量になっていないかを商品名とセットで確認すれば、規格違いによる誤発注に気づけることがあります
システム面でできる対策
医薬品業界では、GS1コード(国内ではJANコードとして運用される世界共通の商品識別コード)による商品識別が業界標準として案内されています。これを品目マスタの軸に使えば、名称だけに頼らない突き合わせがしやすくなります。
- 品目マスタとの自動照合: 読み取った商品名・含量・剤形を、GS1コード・JANコードなど医薬品業界で使われる商品コードを含む品目マスタと突き合わせ、完全一致しない場合に警告する仕組みがあれば、存在しない組み合わせのまま処理が進むことを防げます
- 候補の提示: 完全一致しない場合に、名称が近い商品を候補として提示できれば、担当者は候補から選ぶだけで済みます
- 確信度の低い項目の可視化: 含量や剤形のように小さく記載されがちな項目は特に読み取りにくいため、AIが自信を持てなかった箇所を示す仕組みがあれば、そこだけ重点的に確認できます
まとめ: 「商品名だけで判断しない」仕組みを作る
医薬品の読み違いは、商品名だけを見て判断してしまうことから起こりやすくなります。含量・剤形を必ずセットで確認する習慣と、品目マスタとの自動照合のような仕組みを組み合わせることで、受注入力段階の読み違いを減らせます。
手前味噌の紹介
この記事を書いているのは、注文書特化サービス注文書係(ちゅうもんしょがかり)の運営者です。読み取った商品名・含量・剤形は品目マスタと自動照合し、完全一致しない場合は候補を提示します。AIが自信を持てなかった項目は黄色で表示されるため、含量違いのような読み違いやすい項目を重点的に確認できます。
無料トライアルは30枚または14日間、クレジットカードの登録も不要です。含量違いの商品が多い自社の注文書で、実際の照合精度を確かめてみてください。